直接照準射撃と間接照準射撃 / Direct and Indirect

 今日の砲のように厳密ではないにせよ、弓箭の射撃にも、直接照準射撃(direct fire)と間接照準射撃(indiredt fire)とが区別される。後者は曲射弾道射撃(curved-trajectory fire)というべきかもしれない(弓ならshotか)。

 このため弓矢の射程にも二種類あることになる。まず間接射撃の場合だが、中世文書などに互いに一町を隔てて楯を並べて陣地編成したとあることから、おおむね100メートル前後、ということになるだろう。この場合、一本だけ飛んで来るならそれほど脅威ではない。しかし「雨のごとし」となると脅威である。

 直接射撃の有効射程は、とくに相手が移動しているような場合は非常に狭く、20メートルを切るらしい。しかし、その範囲に入れば命中の精度は非常に高い。

 つまり、100メートルの距離で対陣した敵に突撃を敢行した場合、最初の80メートルは間接射撃で狙われ、近づくにつれて命中の確率が高まっていく。残りの20メートルでは直接射撃が待っている。この最後の段階で狙われてしまった場合には、非常に高い確率で身体を射抜かれるわけである。

 もちろん、弓騎兵の場合、話はもう少し複雑である。