発射速度 / rate of fire

……… command our bows
To hurl away their pretty colored Yew,

The Reign of King Edward the Third (William Shakespeare)
平治物語絵巻に描かれた弓

 弓の射速(毎分の発射数)はどの程度であったか。かのイングランド弓兵の場合、毎分20射という強者もいたそうだが、古墳時代の弓の射速は毎分10射程度が限界だったと仮定する。すると、原始和弓の間接照準射撃の射程100メートルを20秒で走り抜ければ、その間に一人の弓兵が射ることができる矢の数は高々3本と試算できる。これをどの程度の脅威と評価すべきか。

 ただし、100メートルを駆け抜けた先に待っている敵が、お茶を用意して接待してくれる訳ではない。「さあ来い」と直刀や矛を構え、本気で殺してやろうと待ち受けているわけだから、攻撃側はかなり辛い戦いを強いられる。置楯を少しずつ移動して敵に接近していく、という戦闘を推定するのが自然だろうか。ハード・ウェアしか推定の材料にできない考古学では、このあたりが判断の限界である。

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