ソミュール戦車博物館 4 Königstiger

現在、世界で唯一実働可能なKönigstiger

 ドイツ軍の戦車には吸着地雷による攻撃を回避するため、ツィンメリット・コーティングと呼ばれる非磁性体のコーティングが施されることが多かった。戦車表面に独特のパターンで塗られているのがそれ。
 人が敵戦車に接近して吸着地雷を仕掛けるなどといった野蛮なことを考えたのはドイツと日本だけで、連合軍側にはそうした武器の発想はなかったから、こんなコーティングは実は無用だった。しかし、その縞縞パターンが、ドイツの戦車に独特の雰囲気を与えているのは確かである。寒い展示室のなかで手袋を外して何度か感触を試してみてしまった。

Königstigerを真横から見る

 重戦車ティーガーII(Königstiger)は1944年2月から1945年3月までの間に466輌が生産された。重量69.8t、全長10.286m、幅3.755m、高さ3.090m。装甲は最も厚いところで180mm。実物は数字より小さく見える。
 12気筒の水冷ガソリン・エンジンを積み、最高時速35km/h、舗装道路での速度15-20km/h、荒地の速度15km/h。乗員5名。

斜め前方からみたKönigstiger

 主砲にはドイツ軍将兵がAcht-Achtと呼んで頼りにし、連合軍の兵士がeighty-eightと呼んで恐れたという高射砲8.8cm FlaKを搭載。その結果、連合軍側の汎ゆる戦車をそのアウトレンジから攻撃し撃破できる能力を備えていた。

後部を見るとエンジンオイルが少し漏れていた。

 しかし、燃費が頗る悪い。荒地ではリッター100mしか走れない。つまり800 リットル入るタンクの燃料で到達できるのは半径80km。しかもあまりにも重いため橋が落ちてしまったり、道路が陥没して抜け出せなくなったりと、恐ろしく機動力に欠け、運用は難しかった。